東京高等裁判所 昭和32年(ネ)2287号 判決
控訴人らは、本件訴は不適法であると主張するから、その当否について按ずるに、成立に争のない甲第一号証(被控訴人の戸籍謄本)には、被控訴人は昭和十五年三月二十日佐藤スミ(被控訴人の自称法定代理人親権者母)と亡佐藤亀治との間に生れた同人らの二女である旨の記載があるが、当審における証人角山キミの証言及び右佐藤スミ尋問の結果を総合すると、被控訴人は真実は右スミと亀治との間に生れた子ではなく、右戸籍の記載は、昭和十五年三月当時スミが懐胎中に貰子をして育てなければ胎児も育たないという人伝の迷信に従い他人の子を貰い、右両名の子として届出たために生じたものに過ぎないことが認められるから、被控訴人と右佐藤両名との間には法律上の親子関係はなく、従つて、右スミは被控訴人の親権者としてその法定代理権を有するに由ないものといわなければならない。
そうすると、被控訴人は未成年者であつて、本訴は未成年者の訴であるにかゝわらず法定代理権のないものによつて起されたものであるから不適法としてこれを却下するのほかはない。
(岡咲 田中 脇屋)